近年、「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」という症状を抱えた子どもが増えているのをご存知でしょうか?
今すぐに重篤な症状が現れる深刻な病気ではないのですが、時間の経過とともに子どもの発育・成長の妨げとなるため、保護者の方は十分に注意する必要があります。
子どもが何気なくかいている“いびき”も、もしかしたら口腔機能発達不全症の症状かもしれません。今回はそんな口腔機能発達不全症の特徴や認められる症状について、五泉市駅前の浅井歯科医院がわかりやすく解説をします。
▼口腔機能発達不全症とは?
口腔機能発達不全症とは、文字通りお口の機能の発達が不十分な状態を指す言葉で、2018年から保険適用となった病気です。
口腔や全身に明らかな障害が存在していないため、保護者の方は対処に困ることも多いです。ちなみに、10代の約半数で口腔機能発達不全症の症状を経験したことがあるというアンケート結果も出ています。
この病気は現代の日本において、それくらい発症頻度の高いものとなっているのです。そこで気になるのが「口腔機能発達不全症」が疑われる症状ですね。
▼お子さんにこんな症状はありませんか?
以下に記載するのは、口腔機能発達不全症が疑われる症状のチェックリストです。離乳完了前と離乳完了後に分けてあります。
【口腔機能発達不全症のチェックリスト】
◎離乳完了前
・生まれた時から歯が生えている(先天性歯)
・口唇や歯槽骨の形に異常がある
・舌小帯に異常がある
・お母さんの乳首をしっかり咥えることができない
・授乳時間が極端に長い、あるいは短い
・哺乳量や授乳回数にムラがある
・首の据わりが確認できない
・スプーンを舌で押し出す癖がある
・離乳が進まない
・安静時にも口が開いている(口呼吸)
・極端に痩せている、あるいは太っている
・口腔周囲に過敏な症状がある
◎離乳完了後
・歯がなかなか生えない
・歯並びや噛み合わせに異常がある
・重症化したむし歯がある
・強く噛みしめることができない
・片側だけで噛む癖がある
・咀嚼時間が極端に長い、あるいは短い
・舌を前に突き出す癖がある
・指しゃぶりをしている
・食べる量、回数にムラがある(小食・大食)
・発音や滑舌に明らかな異常がある
・お口ポカンの症状が見られる(口呼吸)
・極端に痩せている、あるいは太っている
・いびきをかくことが多い
・口蓋扁桃(のどの奥の両側にあるリンパ組織)に肥大がある
・舌をお口の天井に押し付ける力が弱い(低位舌)
このように、口腔機能発達不全症のチェックリストには、たくさんの症状が記載されており、ひとつやふたつ当てはまるケースは珍しくないかと思います。
これはあくまでチェックリストなので、ひとつでも当てはまる症状が認められたら口腔機能発達不全症と診断されるわけではありませんが、不安な点がある場合は一度、小児歯科で診てもらうことをオススメします。
▼何歳までに歯科を受診すべき?
口腔機能発達不全症が疑われる症状が見られた場合、何歳までに歯科を受診すべきなのでしょうか。
結論からいうと、口腔機能発達不全症の診察は、「何歳まで」というより不安に感じる症状が見られた時点で歯科を受診するのが望ましいです。
上段で解説したように、口腔機能発達不全症が疑われる症状は、離乳完了前から見られます。つまり1歳に満たない赤ちゃんの時期でも、本来生えるはずのない歯が生えていたり、哺乳障害が認められたりするため、早期に対処することが求められるケースも少なくないのです。
当然ですが口腔機能発達不全症の原因となっている異常や習癖を放置している期間が長くなるほど、食べる・飲み込む・しゃべる・呼吸する機能の発達も遅れてしまいます。
◎何歳まで気を付ければいい?
口腔機能発達不全症は、基本的に18歳未満のお子さんが発症する病気ですが、指しゃぶりや口呼吸、小食などは、成人してからでも口腔機能を低下させる要因となるため、こうした習癖・習慣が改善されない場合は、歯科で相談すると良いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群によるいびきも、歯科で診断や治療を受けることも可能となっています。いずれにしてもお口の機能に関わる以上は「何歳まで」と明確に区切るのではなく、気になる症状が認められたら、歯科を受診するのが望ましいです。
▼まとめ
今回は、子どものいびきや指しゃぶり、口呼吸などが見られた場合に疑われる口腔機能発達不全症について、五泉市駅前の浅井歯科医院が解説しました。
口腔機能発達不全症は、多くのお子さんに見られる病気なので、気になる症状が認められたら早期に歯科で診察を受けておきましょう。対処するタイミングが遅れると、お子さんのお口の発育に、大きな支障をきたす可能性もあるため、十分に注意しましょう。
当院ではそんな口腔機能発達不全症の診断および治療にも力を入れております。